服を買うとき、「生地が厚いほうが良い服っぽい」と考える人は結構多いんじゃないかなと思います。
手に持ったときにしっかりしていますし、薄くて頼りない服より安心感があります。とくにTシャツやスウェットのように普段よく着る服だと、この差はかなり分かりやすいですよね。白Tが透けにくいとか、一枚で着ても心もとなく見えにくいとか、洗っても急に弱った感じが出にくいとか、厚みがあることで助かる場面は普通に多いです。
なので、「生地が厚い服のほうが良さそう」と感じるのは自然ですし、その感覚はそこまで間違っていません。実際、筆者自身も店舗で服を見るとき、まず生地の頼もしさに目がいくことはよくあります。触った瞬間に、これはちゃんと着られそうだなと思える服には、やはりそれなりの安心感があります。
そこで今回は、生地が厚い服ほど本当にいい服なのか、このテーマをもう少し丁寧に整理し解説してみたいと思います。
生地が厚い服はいい服なのか?
生地が厚いからといって、それだけでいい服とは限りません。
ただ実際、厚みがある服に良さがあるのも事実です。白Tなら透けにくいですし、一枚で着たときに体の線が出にくいので、見た目も落ち着きやすくなります。スウェットなどでも、少し厚みがあるほうが形が崩れにくく、だらっと見えにくかったりします。
この話は厚いか薄いかだけで決めるものではありません。その服にその厚さが合っているかどうかで見るほうが大事なのです。夏のシャツと、秋冬のスウェットやデニムでは、ちょうどいい厚さが違います。
ozの話、デニムやコットン
生地の厚さを語るときに、避けて通れないのがoz、つまりオンスです。
とくに分かりやすいのはデニムで、オンスが上がるほど生地は重く厚くなっていきます。10oz前後なら比較的軽くて長い時期に穿きやすく、13oz前後になると、いわゆるデニムらしいしっかり感が出てきます。さらに15ozを超えてくると、手に持っただけでもずっしりと重さや硬さを感じやすくなります。
たとえばLevi’sの501を見ると分かりやすいかもしれません。501が長く定番として残っているのは、もともと労働者のためのパンツとして育ってきた背景があって、デニムらしい厚みや硬さがちゃんと魅力として残っているからです。
薄くてやわらかいパンツとは違って、脚の線を拾いにくく、穿いたときに足元が頼りなく見えにくい。あの感じが、いわゆるデニムらしさなのだと思います。
もちろん、オンスが高ければ高いほどいいという話でもありませんが、ただ少し厚みがあるデニムのほうが、穿いたときに見た目が落ち着きやすく、頼りなく見えにくいのはたしかです。大人の普段着として考えるなら、この差は大きいポイントだと思います。
厚い生地は、作業服など丈夫な服に多い
もともと厚い生地が使われてきた服には、ワークウェアやミリタリーのように、丈夫さが必要だったものが多いです。擦れても傷みにくい、引っかかっても破れにくい、何度着てもすぐにはへたらない。そういう服では、生地の厚さそのものに意味があります。
このあたりは、CarharttやDickiesの歴史を見ると分かりやすいです。Carharttは鉄道労働者向けのオーバーオールから始まったブランドですし、Dickiesも作業着の文脈から広がってきたブランドです。
今ではファッションとして見ることも多いですが、ブランドの顔になっているジャケットやワークパンツには、まず仕事着としての強さがありました。厚い生地が使われているのは、無骨に見せるためではなく、ちゃんと働く服として必要だったからです。
そう考えると、厚い生地が何となく良く見えるのは気のせいではないのかもしれません。昔から、その厚さには理由があって、そのバックグラウンドも服の格好よさになってきたのだと思います。
生地が厚いとどうなる?メリット・デメリット
生地が厚い服のメリットは、一枚で着たときに見え方が安定しやすいことでしょうか。
Tシャツなら透けにくいですし、体の線も拾いにくいので、一枚でも着やすくなります。スウェットも、生地が少ししっかりしているほうが形が崩れにくく、洗ったあともくたっと見えにくいです。首まわりや裾もすぐには弱りにくいので、その点も安心です。
このあたりはChampionのスウェットを見ると伝わりやすいと思います。Championはもともとアスレチックウェアを長く作ってきたブランドで、Reverse Weaveが今でも定番として残っているのも、生地の厚みと作りの両方に理由があるからです。繰り返し着て洗っても縮みにくいように生地の向きを工夫し、動きやすさのために脇にリブを入れる。そういう積み重ねがあるので、一枚で着ても頼りなく見えにくく、長く着ても雰囲気が崩れにくいのだと思います。
一方で、厚い生地にもデメリットもあります。時期によっては暑いですし、当然ながら服自体の重量も増します。場面に応じて選ぶことが大切です。
30代以降の大人メンズが選ぶなら
30代以降の普段着は、薄すぎる服より、少し厚みがある服のほうがうまくいきやすいです。
10〜20代なら、薄いTシャツを一枚でさらっと着てもまとまりやすいのですが、年齢を重ねると、同じことをしても少し頼りなく見えることがあります。これは体型だけの話ではなく、服そのものの見え方として、生地に少し厚みがあるほうが全体が落ち着いて見えやすいからです。
とくにTシャツやスウェットは、この差が出やすいと思います。一枚で着ても弱く見えにくいですし、洗ったあとも見た目が崩れにくいので、結果としてよく着るようになります。大人の普段着では、気負わず着られてちゃんと見えるかのほうが大事です。
サイズは合っているのに何かしっくりこない、悪くないのに少し物足りない。そういうとき、生地が薄すぎることが原因になっていることがあります。なので筆者自身も、普段着なら少し厚みがあるものを選ぶことが多いです。もちろん何でも厚ければいい訳ではありませんが、最初の一枚を選ぶなら、そのくらいのほうが失敗は少ないと思います。
まとめ
生地が厚い服ほど、いい服とは言い切れません。
ただ、厚い生地が今でも支持されるのには、ちゃんと理由があります。透けにくい、一枚で着やすい、形が崩れにくい、頼りなく見えにくい。とくに大人の普段着では、この良さがかなり分かりやすく出ます。
その一方で、厚ければ何でもいい訳ではありません。服にはそれぞれ役割がありますし、季節や用途によって、ちょうどいい厚さは変わります。なので見るべきなのは、厚いか薄いかではなく、その服にその厚さが合っているかどうかです。
店頭でもECサイトでも、生地が厚いというだけで判断するのではなく、その厚さで一枚で着やすいか、長く着たいと思えるかまで見てみると、服の選び方はかなり変わってくるはずです。生地の厚さを、自分なりの判断基準として使ってみてはいかがでしょうか。
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