HUMAN MADEは、NIGO氏が2010年に立ち上げたライフスタイルブランドです。「The Future Is In The Past」 をコンセプトに、過去の服や歴史的なスタイルを出発点にしながら新しい形へ作り替えていく。言葉にすると少し難しそうですが、スタンダードなアイテムも多いので、そこまで構えなくても入っていけるブランドです。
ただ、このブランドの面白さはそこだけではないと思っています。コラボの相手、限定販売の刻み方、発売場所の選び方まで含めて、ブランドに触れる機会を何度も作り続けているのです。筆者も先日のコカ・コーラとの限定缶をファミマで見かけたとき、改めてそう感じました。
今回は、筆者の専門でもあるマーケティングの視点から、HUMAN MADEがなぜこれだけ幅広い層に届き続けているのかを考えていきたいと思います。
HUMAN MADEは服だけで広がったブランドではない
HUMAN MADEをただのストリートブランドとして見ると、少し見誤りやすいところがあります。
とくにあの特徴的なハートのグラフィックTシャツやスウェットのイメージが強いせいか、ロゴを前面に出したブランドだと思われることも多いです。
ただ実際には、アウター、シャツ、デニム、パンツ、バッグ、小物、ホーム&ライフスタイルまで幅広く揃っていて、最初から服だけで終わらない広がり方をするように設計されています。ロゴやグラフィックから入るのは自然ですが、買う入口が一つではないところが、このブランドの面白さです。
もう一つは、NIGO氏自身の存在感です。ブランドの顔として発信を続けながら、KENZOのArtistic Directorを務めるなど、ファッション業界での立ち位置も大きい。HUMAN MADEというブランドへの関心が、NIGO氏への関心と切り離せない形になっている。これもブランドの強さを支える一つの柱だと思います。
コラボのたびに、ちがう人に届く
HUMAN MADEのコラボが強いのは、相手が変わるたびにブランドへの入口も変わるからです。服のコラボもあれば、飲み物、音楽、アートと、毎回ちがう文脈でブランド名が登場します。あるコラボで初めて名前を知った人が、次のコラボでまた別の角度から興味を持つ。そういう連鎖が起きやすい設計になっています。
しかも、コラボ相手の選び方にも一貫したセンスがあります。単に話題性だけで組む相手を選ぶのではなく、The Future Is In The Past というコンセプトと自然につながるような相手と組むことが多い。だからコラボのたびにブランドの世界観が広がっていく感覚があります。
先にコラボの相手を知り、そのあとでHUMAN MADEという名前を覚える。そういう順番でも、HUMAN MADEという名前がきちんと残るように作られているのが、このブランドのうまいところだと個人的に思います。
限定販売で、接点を切らさない
限定といっても、ただ数を少なくすればいいわけではありません。いつ、どこで、どういう形で出すか、その設計まで含めて考えないと単なる品薄で終わってしまいます。
HUMAN MADEの場合、限定販売がうまく機能している理由の一つは、発売のペースと場所の使い方にあると思います。 ECサイトやフラッグシップでの展開だけでなく、ポップアップや別注といった形でさまざまな場所に顔を出すことで、ブランドとの接点が途切れにくくなっています。希少だから欲しくなる、というより、限定だから見に行く理由ができる。その積み重ねが、熱心なファンだけでなく少し距離を置いた人まで引き留めておく力になっています。
服を毎回買わなくても、たまにニュースを見る人、店舗をのぞく人が残る。この距離感の人を増やせることが、長く続くブランドの強さだと思います。
売り方が巧みだから、服もさらに良く見える
コラボの話題、発売日の限定感、手に入りにくさ、そうしたものが重なると、服自体も実際以上に良く見えやすくなります。これはHUMAN MADEに限った話ではありませんが、このブランドはその設計がとくに丁寧だと感じます。
ブランド名を見た瞬間に、服の形だけでなく最近のコラボや限定販売の記憶まで一緒に浮かぶ。そうなると、Tシャツ一枚でもただのTシャツではなくなります。
ただ、売り方だけで長く続けるのは無理です。HUMAN MADEの場合は、古着やヴィンテージへの目利き、歴史的なスタイルへの解像度が服そのものに出ているから、コラボや限定販売の話題が単なるノイズにならずに済んでいます。話題になるたびに服を見に行く理由ができて、服を見れば納得感がある。その循環があってはじめて、ブランドとしての説得力が生まれているのだと思います。
まとめ
HUMAN MADEの強さは、NIGO氏の名前だけでは説明しきれません。
コラボ相手の選び方、限定販売の刻み方、日常の売り場への入り込み方、それらが重なってブランドとしての厚みになっています。話題の大きさに引っ張られすぎず、最後は服そのものを見る。そこまで辿り着くと、このブランドの面白さが、よりはっきり見えてくるかもしれません。
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