世の中に溢れるファッションブランドを見ていて、どれも似ているなと思うことはないでしょうか?
ロゴや写真の雰囲気は違うのに、形や値段、提案している着方まで、なんとなく同じに見える。そのように感じても全く不思議ではありません。実際、そう見えやすい理由はちゃんとあります。
今回は、そんなファッションブランドが似通ってしまう問題を、筆者なりに考察してきたいと思います。
作り方が同じだと、服も似やすい
一番大きい要因として考えられるのが、作り方が似てしまうということです。今やOEMやODMが当たり前の時代で、ブランド側がすべてをゼロから作っているとは限りません。実際、大手セレクトショップのセレオリなど、複数社が同じOEMメーカーを使っていたりもします。
縫製工場がもともと持っている型や、すでに動かせる仕様をベースにして、素材や細部を調整して商品にする、という流れはかなり一般的です。
断っておきたいのですが、これは決して手抜きなどという話ではなく、商品の品質を安定させながら、失敗の確率を極力下げる方法として非常に合理的な選択なのです。ただし、出来上がりはどうしても似てくるのです。
値段をそろえると、仕様もそろってくる
次に考えたいポイントとして、値段の都合です。マーケットで実際に売れやすい価格帯というのは、思っているより狭いところに集まります。
アウターならこのくらい、ニットならこのくらい、というように「この値段なら買うかも」が、多くの人の頭の中でだいたい決まっている。そこに合わせようとすると、生地にいくら使えるか、縫製の工程をどこまで増やせるか、付属をどこまで凝れるかが現実的に決まってきます。つまり、値段をそろえると、作りも似てきやすいということです。
ブランドが増えやすい時代ほど、無難な形に寄る
もう一つ、ブランドが増えやすくなったことも関係します。今の世の中、D2Cで始めやすくなって、少人数でもブランドを立ち上げられる時代になりました。これは業界にとってもすごく良い変化ですよね。
ただ、始めやすい一方で、いきなり大胆に外した商品を出すというのは怖い。売れ筋の形、売れ筋の色、売れ筋の値段に寄せたほうが、まずは失敗しにくいからです。そうすると、ブランドの数は増えても、店頭で見える服は似ていくという状況になりやすいのかも知れません。
さらに言うと、売り方が先に固まっているブランドも増えました。世界観や写真、言葉づかいはしっかり作り込まれているのに、服そのものは「よく見る形」に落ち着く。写真では違って見えるのに、ハンガーにかかっていると似て見える、というのはこういうケースで起きます。
だからこそ、見る場所を少し変えてみる
ここで大事なのは、「ブランドが増えるのが悪い」という話ではないことです。問題は、似た条件で作れば似たものが出てきやすい、というだけです。なので、似て見えるのは、どこかのブランドがどうこうというより、作り方の事情として捉えたほうが整理しやすいと思います。
じゃあ、選ぶ側はどうすればいいのか。ここはシンプルで、似た服が増えること自体を悪いことにしないほうがいいと思います。むしろ「自分はこの形が落ち着く」と分かってきた結果なら、それは買い物としてかなり健全です。好きなデザイナーがいるとか、そのブランドの世界観が好きとか、そういう動機で選ぶのも当然ありですし、そこから入るのがいちばん分かりやすい。
そのうえで、最後に一つだけ確認すると買い方が安定します。服そのものの作りやバランスが、自分にとってちゃんと良いかどうかです。
たとえば肩の形がどうなっているか、身幅をどう取っているか、袖が太いのか細いのか、着たときのバランスをどこに置いているのか。縫い方や始末が、この値段として納得できるか。生地が一発の流行に乗っただけなのか、何年も定番として使われているものなのか。ここを見ておくと、似た雰囲気のブランドが並んでいても「自分はこっち」と選びやすくなりますし、買ったあとに着なくなる確率も下がるかもしれません。
まとめ
どのブランドも似て見える、という感覚は気のせいではありません。いまの市場は、同じような条件で服が作られ、同じような価格で売られやすい構造になっています。だから、ブランドが増えても、見える景色があまり変わらないことが起きるのです。
このように乱立しているように見える状況も、視点を変えると「同じ作り方が広がった結果」として整理できるのではないでしょうか。
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