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ヴィンテージ古着を資産と呼ぶ時代に、服を着る意味を問う

公開日:

2025/6/16

by

Ryota Shimajiri

WardRove創設者。東京都出身。洋服の縫製工場を営む父方の実家の影響で、幼少期からファッションに親しむ。文化服装学院を卒業後、アパレルメーカーにて生産管理や新ブランド立ち上げを経験。 その後IT業界へ転身し、開発・執筆・マーケティング・プロダクト企画と、クリエイティブからビジネスまで一貫して手掛ける。フォーマルアドバイザー、カラーコーディネーターなどの資格を保有。

本記事について(※はじめにお読みください)

この記事では、昨今のヴィンテージ古着ブームに対して、やや批判的な視点から意見を述べています。※ヴィンテージ古着そのものを否定する意図はありません。

ファッションの感じ方や価値観は人それぞれですが、「なぜ今ヴィンテージ古着を買うべきでないのか?」を真剣に考えるための視点として、ぜひお読みいただければと思います。

冷静に考えたい服の価値について

「古着って安くて、味があって、おしゃれ」そんなイメージは、もはや過去の話になりつつあります。

筆者の学生時代は、手頃な価格で服を揃えるために、古着屋を巡るのが当たり前でした。新品は高くて手が出せず、古着が現実的な選択肢だったのです。当時は今のようにフリマアプリもなく、他に安く服を買う手段が限られていました。

ですが昨今の古着ブーム、とくにヴィンテージ市場は、価格が異常な水準まで高騰し、希少性や年代といったストーリーだけで高値がついています。

その背景には、服を投資対象として扱うような資産運用的な視点すら感じられます。

本来、服は着るためのもの。
そう考えるなら、いまヴィンテージ古着を買うことには、大きな疑問符がつきます。

 ヴィンテージはファッションから金融商品になった

90年代のナイキ、リーバイス、ラルフローレン……etc
本来なら「いいモノを手頃に」手に入れられるはずだった古着市場は、いまや一部のコレクターと転売目的の業者によって価格が吊り上げられ、「買ったあとに価値が上がるか」が話題の中心になっています。

タグが古いというだけで、実際の状態はおろか、着心地や実用性も二の次。
そんな服が数十万~ 数百万円で取引される現状は、もはや“ファッション”とはかけ離れたものです。

「着る」ことが置き去りにされている

ヴィンテージ古着の多くは、色褪せ、ほつれ、におい、ダメージ、サイズのアンバランスなど、扱いに慣れていない人にとってはハードルが高い存在です。

それでも買われる理由は、「希少だから」「値上がりするから」「雰囲気があるから」。
しかし、服は本来、着てこそ意味があると筆者は考えます。

「価値が下がるから着られない」
「保存のために袋から出せない」
それは服ではなく、もはや骨董品や株券に近い存在です。

ヴィンテージ市場は誰のためのものか?

本来、古着とは人の生活に根ざしたものであり、着られてきた歴史が魅力でした。

ところが現在のヴィンテージ市場は、

  • 高額転売を前提にしたコレクション

  • ハッシュタグで吊り上げられる価格

  • 「持っていること」に価値が集中

といった方向に進んでおり、初心者が入るにはリスクが高すぎる領域になっています。

価格も価値も他人の評価基準で決まり、自分の「好き」「似合う」は二の次。
それでは、ファッションの楽しさがどんどん失われていきます。

じゃあ何を着ればいいのか?

「じゃあ何を買えばいいの?」という声もあるでしょう。

答えはとてもシンプルです。
無理なく着回せて、自分の日常に自然と馴染む服を選べばいいのです。

価格・素材・デザインのバランスがとれたアイテムは、現在も多くのブランドから出ています。気負わずに着られる一着が、結果的にあなたの「おしゃれのベース」になります。

それでも古着に惹かれるなら、

  • 最近のユーズド品(ここ数年のシーズンもの)

  • ノーブランドの安価な古着

  • クリエイターがリメイクした一点モノ

といった、“実際に着られる古着”を選ぶ方が、リアルで、健康的でしょう。

まとめ

私たちは今、「服を資産として見る」時代に立たされています。
でも、ファッションは本来もっと自由で、生活に根ざしたものだったはずです。

別にヴィンテージ古着が悪いというわけではありません。
ただし、それが儲かるかレアかという視点ばかりが先行してしまった結果、「着たい」というシンプルな気持ちが見失われているのではないでしょうか。

ファッションを、自分の生活に取り戻すために今、あえてヴィンテージ古着を「買わない」こと。
それが、これからの時代の正しいおしゃれの始め方かもしれません。

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