近年、ファッション業界でよく耳にするようになった言葉が「クワイエットラグジュアリー(Quiet Luxury)」です。
直訳すると「静かな贅沢」です。派手なロゴや目立つ装飾でブランドを誇示するのではなく、あえて控えめなデザインの中で素材や仕立ての良さを楽しむファッションスタイルを指します。
SNSの普及によって“見せびらかす消費”が一時代を築いた一方で、その反動として「本当に良いものを長く愛用する」という価値観が再評価され始めました。
ブランド名で勝負するのではなく、近づいたときや触れたときに分かる上質さ。それこそがクワイエットラグジュアリーの魅力です。たとえば代表的なブランドとしてロロ・ピアーナやブルネロ・クチネリ、ザ・ロウなどが挙げられ、どれもシンプルでありながら、一目で「良いもの」と感じさせる存在感を放っています。
また、近年のハイブランドのコレクションでもこの傾向がいっそう強まっています。ディオールも例外ではなく、クワイエットラグジュアリーを意識したスタイルを数多く発表しています。

(画像出 THE NIKKEI MAGAZINE )
今回はこのクワイエットラグジュアリーを解説していきたいと思います。
他のトレンドとの違い
従来のラグジュアリーファッションがブランドロゴを前面に押し出していたのに対し、クワイエットラグジュアリーはまったく逆のアプローチをとります。派手なモノグラムや目立つデザインを避け、無地でシンプルなスタイルを軸にしながら、素材と仕立ての良さで勝負します。
一見するとノームコアと同じに見えますが、ノームコアは「無個性」を突き詰めたファッションであり、平凡さそのものを魅力として打ち出すスタイルです。
ノームコアについては以下の記事でも解説しています↓
・なぜ『ノームコア』が注目されているのか?ミニマルな服装が再評価されている理由を分析してみた
・大人版ノームコアとは?素材とシルエットで差をつける“普通以上”の着こなし術
一方でクワイエットラグジュアリーは、同じシンプルさを基盤としながらも、そこに「本物の上質さ」を加える点が大きな違いと言えるでしょう。静かでありながら、決して凡庸ではない。さりげなくも確かな存在感を持つのが特徴です。
30〜50代が取り入れるなら
このスタイルがとくに似合うのは、落ち着きを身につけ始めた30〜50代の大人世代です。派手さではなく、自然体で「余裕」を示せるのが大きな魅力となります。
たとえば秋冬のワードローブに、上質なニットを一枚加えるだけで、雰囲気は大きく変わります。カシミヤやメリノウールのシンプルなクルーネックニットは、その代表格。ネイビーやチャコールといった落ち着いた色を選べば、オンオフ問わず使え、長く愛用するほどに“静かな贅沢”がにじみ出てきます。
足元に選ぶべきは、ロゴのないシンプルな革靴です。プレーントゥやストレートチップのように装飾の少ないデザインは、ビジネスシーンから休日カジュアルまで対応できる万能な存在。長く手入れをしながら履くことで、経年変化も楽しめるでしょう。
さらに、秋冬の主役としておすすめなのがジャケットやコートです。無駄を削ぎ落としたチェスターコートやテーラードジャケットは、羽織るだけで「大人の品格」を演出してくれます。
とくにカシミヤ混や上質なウール素材を選ぶと、デザインがシンプルでも確かな存在感を放ち、クワイエットラグジュアリーの真髄を体感できるはずです。
取り入れる際の注意点
ただし、このスタイルを実践する上ではいくつかの注意点があります。まず、トレンドを追いすぎるのは避けましょう。流行のアイテムを毎年買い替えるのではなく、定番を長く愛用することが大切です。
また、高品質なアイテムは手入れ次第で寿命が大きく変わります。ニットは毛玉を丁寧に取る、革靴は定期的に磨くといった日々のケアが、“静かな贅沢”を支える基本となります。
そして、全身を高級ブランドで固める必要もありません。むしろ、クワイエットラグジュアリーは「さりげなさ」が肝心です。シンプルなニットやコートに、ユニクロや無印良品のベーシックアイテムを合わせても十分に成立します。
要は「見せるため」ではなく「自分が心地よく過ごすため」に選ぶという視点が大切なのです。
まとめ
クワイエットラグジュアリーとは、派手な装飾やロゴに頼らず、素材や仕立てそのものの良さを楽しむファッションです。とくに30〜50代にとっては、年齢にふさわしい落ち着きや余裕を自然に表現できるスタイルといえるでしょう。
次に服を選ぶときは、「ロゴよりも素材を」「トレンドよりも永続性を」意識してみてください。きっと、あなたのワードローブは静かに、しかし確実に豊かさを増していくはずです。
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理想のワードローブの参考に、ぜひ他の記事もチェックしてみてください。
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