セレクトショップのマネキン買いは、はたして本当におすすめなのか?
これは、けっこう気になっている人も多いと思います。「マネキン通りに買うのって恥ずかしい」や「センスがなくなる」、他にも「家に持ち帰ったあとにちゃんと着るのか」「買ったのに結局出番が少なくならないか」など、色々と不安があると思います。
そこで今回は、マネキンが作られる背景をVMD(売り場の見せ方)という観点で整理しながら、マネキン買いが有効な条件と、逆に気をつけた方がいい条件をまとめてみたいと思います。
マネキン買いってなに?
まず「マネキン買い」の定義についてですが、マネキン買いというと「上から下まで全部同じ物を買う」というイメージが強いかもしれません。ですが、実際はもう少し幅があります。
マネキンの組み合わせをそのまま揃える人もいれば、主役のアイテムだけ同じにして、他は手持ちで近い雰囲気に寄せる人もいます。そこで記事では、全身をまるごと買うかどうかに関係なく、「店の提案をベースにして買う」ことをまとめてマネキン買いとして扱いたいと思います。
結論として、マネキン買いはおすすめ
結論から言ってしまうと、マネキン買いはおすすめです。これは「センスを放棄する話」という訳ではありません。むしろ、センスの話に持っていかないための買い方、という方が近いと思います。
服は、単体で見たときに良くても、組み合わせた瞬間に急に難しくなることがあります。色合わせで盛大にやらかすというより、素材感やシルエットの方向がバラけて、家に持ち帰ると「なんか落ち着かない」「結局いつもの服に戻る」みたいな形で出番が減りやすいのです。そこを避けたいなら、店が作った組み合わせを一度そのまま使ってみるのは、かなり合理的な判断と言えます。
理由はVMDにあり
VMDは、売り場でどう見せれば服が売れるかを設計する考え方のことです。ただし、VMDは「派手に見せるテクニック」というだけではありません。セレクトショップの場合はとくに、その店のお客さんの日常で成立する形を、売り場として作っていく、という側面が強いです。なので、マネキンは「その結論を短時間で見せるためのもの」と考えると分かりやすいかなと思います。
まず、マネキンは「その店(ブランド)の正解」を一瞬で見せると言っても過言ではありません。何を主役にして、何を脇役にして、どういう順番で揃えてほしいのか。そういう意図が、売り場全体の並べ方とセットで作られています。なので、服単体というより「このブランドはこうふうに着てほしい」という前提が最初から入っていて、家に持ち帰っても成立しやすいのです。
次に、素材と形の方向性が揃っています。買い物の失敗は、色が合わないよりも、服のテンションが揃わないことで起きやすいです。たとえば、上だけキレイで下だけラフ、靴だけスポーツ、バッグだけドレス、みたいに方向が散ると、鏡の前で落ち着きません。マネキンはそこが最初から揃っているので、全体が変になりにくいのです。
最後に、その提案がその店の客層に向けた落とし所になっています。セレクトショップは、来店する層の生活に合わせて提案を作る傾向が強く、極端なTPOズレが起きにくい。なので大人ほどマネキン買いが効きます。派手かどうかより、生活に戻ったときにちゃんと使えるか、という線で組まれていることが多いからです。
ただし集客目的の派手なコーデには注意
一方で、マネキンなら何でも安全かというと、そこはそうでもありません。
注意したいのは、集客目的で作られた派手なスタイリングです。入口付近やウィンドウのマネキンは、通行人の目を止める役割があるので、日常で着るには主張が強すぎることがあります。色が多い、柄が強い、レイヤーが多いなど。こういう要素が重なると、店では良いのに家では着ない、になりやすいのです。
見分け方のポイントとしては、マネキンの近くの売り場の作りを見るのが分かりやすいと思います。その組み合わせが売り場の中心に広く展開されているなら、店としての日常提案である可能性が高い。一体だけ突出していて、周辺に同じ方向の在庫があまり並んでいないなら、アイキャッチ役の可能性が高いと思います。後者の場合は、全身をそのまま買うより、主役だけ借りて、他は手持ちで普通に戻した方が失敗しにくいです。
WardRove的マネキン買いのやり方
やり方はシンプルで、順番だけ間違えないのが大事です。まずマネキンの中で、自分の生活に必要な役を一つ決めます。アウターなのか、パンツなのか、靴なのか。次に、その主役を買うつもりで周辺の合わせを確認して、全部揃えるか、似た色味や近い素材感で手持ちに寄せるかを決めます。
最後に試着ではサイズだけ見て終わらせず、腕を上げる、座る、歩く、みたいな動きを一回だけ入れておくと安心です。家に帰ってから出番が減る原因って、この動きの段階でだいたい見つかるので、ここを一回やっておくだけで買い物の納得感が変わります。
まとめ
マネキン買いは、センスがあるかないかを試す話ではありません。セレクトショップの売り場は、どう見せれば売れるかだけではなく、どう組めばその店のお客さんの日常でちゃんと使えるか、というところまで含めて設計されていて、マネキンはその結論を短時間で見せるために置かれています。
なので、提案をそのまま借りる買い方は、意外と失敗しにくい。注意したいのは、集客目的で強く作られた一体だけが突出している場合で、そこは主役だけ借りて他を普通に戻すだけでも十分に使えます。買い物って、考え続けると疲れますが、こういう「一回ラクできる入口」があると、服はもう少し気楽に楽しめるはずです。
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