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小澤 秀崇(おざわ ひでたか)
靴砥師/レザーメイクプロフェッショナル。世界で唯一の「大使館公認 靴砥師」として、各国の駐日大使から厚い信頼を得ている。大使館関係者からは、技術と感性を兼ね備えた人物として【イデア(Idea)】【アルティスト(Artiste)】の名で親しまれている。2019年に出張靴磨きサービス『EAT POLISH LOVE』を創業。革靴のTPOや素材に応じた“しつらえ”を施す独自の哲学で支持を集める。アフリカ・ウガンダでは靴磨きによる自立支援活動を実施。現在は国内外で講演やレザークラフト教育にも力を入れている。
1. 大使館専属として広がる革の仕事
島尻:
本日はお時間いただきありがとうございます!
まずは、小澤さんの現在のご活動について教えてください。
小澤:
ありがとうございます。
現在は大使館専属の靴砥師(くつとぎし)として、ベルギーやウガンダ、ブルキナファソ、ガボンといった各国の大使の方々に靴磨きや鞄修理をご提供しています。
それ以外にも、レザージャケットの卸売、ハイブランド鞄の修理・修繕、レザークラフト教室や靴磨き教室など、革製品に関わる事業を幅広く展開しています。

2. 俳優志望から靴砥師(くつとぎし)へ──異色のキャリアと転機
島尻:
すごく多岐にわたる活動をされていますよね。そもそも、こうした道に進むことになったきっかけは何だったんでしょう?
小澤:
もともとは俳優を目指していたんですよ。実際に俳優の付き人をして、いくつかの作品にも出演していました。
ただ、私的な事情で業界を離れまして。その後は倉庫管理や時計修理、紳士靴の販売、商社営業など、いろんな職種を経験しました。
島尻:
かなり多彩なキャリアですね…!
小澤:
今思うと、全部がつながっていたんだなって思います。
最終的に「お客様を喜ばせる手段として、今の自分にできることは靴磨きしかない」と感じて、2019年に出張靴磨き『EAT POLISH LOVE』を立ち上げました。
店舗名は、俳優時代に『多くの作品を観ておけ!』と言われ、その時に観たジュリアロバーツが演じる『EAT PLAY LOVE』から拝借しました。
ありがたいことに、私もジュリア・ロバーツのように、たくさんの人に愛される存在になれた気がしています(笑)。
3. ウガンダ支援と“しつらえ”としての靴磨き
島尻:
現在、大使館での靴磨きが主な活動ということですが、今後取り組んでいきたいことはありますか?
小澤:
今後は日本に在中する大使の皆様に、日本の最上級の靴磨きをご利用頂くことが私の目的です。
また、2021年にアフリカのウガンダに行き、自立支援を掲げ、靴磨きワークショップを開いておりましたが、継続が出来ていないので、また始動することが当分の目標になります。

島尻:
すばらしい志ですね。
小澤:
靴磨きって、単なる“技術”ではなく、「誰かに喜んでもらうための手段」だと思っているんです。
だからこそ、私はそこに“日本のしつらえ”の精神を込めています。
ウガンダでの活動もそうですが、それが誰かの仕事の種になるなら、技術はさらに意味を持つと感じています。
4. “靴砥師”が磨くのは、見た目ではなく本質
島尻:
小澤さんは、ご自身のことを「靴磨き職人ではない」とおっしゃってますよね。
小澤:
はい。私は“靴砥師(くつとぎし)”という肩書きで活動しています。
靴磨きって、突き詰めると、つい“磨く側の満足”になってしまうことがあるんです。
どれだけピカピカに仕上げたか、どれだけ技術を見せたか──そのことばかりに気を取られてしまって、本来大切にすべき「お客様」や「靴の使われ方」が置き去りになることも多いのです。
島尻:
では、“靴砥師”というのは、どういう仕事なんでしょう?
小澤:
一言でいえば、「その靴にとって最も自然な状態を見極めて、整えること」です。
私はよく“日本刀”に例えるんですが──切れすぎる刀は、妖刀とか、なまくら刀って呼ばれたりしますよね。それでは本当に良い刀とは言えない。
私が理想とするのは、熟練の刀鍛冶が作る、必要なときに必要なだけ切れる刀。
技術を見せるためじゃなく、“持ち主のために在る”もの。それと同じように、私も“靴を使う人”の立場に立った仕上げを心がけています。
手前味噌にはなりますが、私はそれを「和洋折衷」と呼んでいます。
和の繊細さ、洋の煌びやかさ──その両方を融合させた仕上がりをご堪能いただけるよう努めています。
この奥深さを理解し、価値を感じてくださる方にこそ、届けたい。そう思いながら、日々靴と向き合っています。

5. ファッションは「伝えるための最高級の手段」
島尻:
その思想は、ファッションの哲学にも通じるものがありますね。
小澤:
そうですね。ファッションって、時代や年齢によって変化していくものだと思っています。
とくに、僕のように“身なり”をサービスとして提供している人間にとっては、なおさらです。…って言うと、ちょっとカッコつけすぎですかね(笑)。
島尻:
いえいえ、そんなことは…(笑)。
ちなみに小澤さんは、どのようなスタイルを目指されていたのですか?
小澤:
20代から30代前半までは「イタリア野郎」になろうと必死でした(笑)。
でもアパレル業界の方と関わっていく中で、「上には上がいるな」と痛感して…。自分は中途半端なイタリア野郎だったなと(笑)。
それからは、テーマとかブランドに縛られないスタイルを意識するようになりました。
たとえば「ブリティッシュ」だとか「レザー中心」だとか、そういう縛りを入れてしまうと、思考が停止してしまうというか。
島尻:
なるほど。では、今の小澤さんにとってファッションとは?
小澤:
まとめるなら──「ファッションとは自分を理解してもらう。手っ取り早い最高級の手段」ですね。
トレンドや着回しって、玄人になればなるほど考えなくなります。
大切なのは、「見た目を通して何を感じてもらえるか」「何を提供できるか」「どう愛され、頼られる人物像になれるか」。
つまり、自分のためのファッションでありながら、最終的には“相手のことを考える”ファッションが、僕にとっての最高の“しつらえ”です。
これもまた、和洋折衷のひとつのかたちだと思っています。

6. 世界に伝えたい、日本式靴磨きの力
島尻:
今後のビジョンをお聞かせください。
小澤:
日本の靴磨きの“在り方”を、世界に広めていきたいと思っています。
というのも、僕自身──靴磨きがあったからこそ、今の人生があります。
大使館で仕事を任せていただいたり、島尻さんのような素晴らしい方々と出会えたり、鞄修理やレザージャケットの卸といった事業にも広がっていった。すべての原点は靴磨きなんです。
だから、靴磨きに“恩返し”がしたい。その気持ちで、世界への啓蒙活動を続けています。
とくにアフリカ・ウガンダでは、路上での爪切りすら仕事になるほど、労働の選択肢が限られていて。平均年収も日本円で5,000円〜1万円ほどしかない国もあります。
富裕層との格差も大きくて、日々の仕事に飢えているのです。
そんな中で、日本流の靴磨きを伝えることが、現地の人たちの“手に職”になる可能性があるんです。
最初は一足10円だった磨き代が、技術を学ぶことで50円になり、やがて100円になっていく。わずかな金額のようですが、彼らにとっては大きな変化です。
その変化を後押しすることが、僕の役割だと信じています。

7. WardRove読者へのメッセージ
島尻:
最後にWardRove読者へのメッセージをお願いします!
小澤:
ここまでお付き合いくださり、本当にありがとうございます。
これまでの3年間は、完全クローズドで活動してきましたが、2025年からはより多くの方にご利用いただけるように準備しています。
この記事をご覧いただいた方には、特別に通常価格(5,500円)のところ、初回限定で1,000円で一足のみ承ります。
ご依頼の際は、弊社公式サイトの問い合わせ欄に「WardRoveを見た」とお書きください。詳細はお問い合わせのうえ、ぜひこの機会にお試しください。
島尻:
本日は本当にありがとうございました!
小澤さんの今後のご活躍、これからも楽しみにしています!
Eat Polish Love 公式サイト・SNS
サービス内容や最新情報については、上記の公式サイトをご覧ください。
WardRoveでは他にもコーディネート術からアイテム選びなど、ファッションに役立つ情報を発信中です。
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