「地味」と言われた服が、いまは「落ち着いていておしゃれ」と見られるようになっています。分厚いニットやコーデュロイのパンツ、丸眼鏡といったアイテムを取り入れたスタイルは「グランパコア(Grandpacore)」と呼ばれるようになりました。
若い世代の間でも注目されていますが、グランパコアは単なる流行ではありません。
年齢を重ねた男性が自然にまとえる、穏やかで上質な装いとして再評価されているのです。
若者が憧れる大人の服
若い世代のファッションでは、派手さよりも落ち着いた雰囲気や余裕を感じさせるスタイルが人気です。グランパコアもそうした傾向のひとつで、古着屋に並ぶツイードやベストなど、クラシックな要素を取り入れた着こなしが注目を集めています。
ただし、彼らが惹かれているのは服そのものだけでなく、
長く大切に着られた服に宿る“時間の積み重ね”や、持ち主の“生き方の自然さ”にも魅力を感じているのです。それは、若さでは表現できない“味わい”のようなものとも言えます。
グランパコアとは “渋み”をまとうスタイル
グランパコアは、昔ながらの紳士的な服装を、現代の暮らしに合う形で取り入れたスタイルです。たとえばツイードジャケットやコーデュロイパンツ、ウールのカーディガンなど、どれも主張自体は強くありません。ですが、素材の質感や手触り、落ち着いた色合いによって、自然と存在感が生まれます。
流行を追うよりも、自分に合うものを見つけたいという考え方が広がる中で、
グランパコアは「派手さではなく、静かな個性を大切にする服」として受け入れられてきているのです。
いま大人にこそ似合う理由
グランパコアが大人の男性に似合うのは、単に落ち着いた服だからではありません。その背景には、社会の変化や、服との向き合い方の変化があります。
ここでは3つの視点から、その理由を見ていきたいと思います。
1. 派手さよりも奥行きを求める時代
ファッションの世界では、かつてのように「目立つこと」よりも、「自分に合うこと」が重視されるようになりました。ロゴや鮮やかな色で主張するのではなく、素材の風合いやシルエットの美しさで印象をつくる人が増えています。
たとえば、柔らかいウールやコーデュロイの質感、丁寧に仕立てられたジャケットの肩のライン。そうした小さな部分が、落ち着いた雰囲気を持つ大人の男性と自然に調和します。
派手さではなく、静かな深み。
それが、グランパコアがいまの時代にフィットしている理由のひとつです。
2. ノームコアからの変化
2010年代後半に広がった「ノームコア」は、無駄を削ぎ落としたシンプルな服装を指す言葉でした。しかし、洗練されたシンプルさの中に“どこか冷たさ”を感じるようになった人も多いのではないでしょうか?
グランパコアは、その流れの先にあるスタイルです。シンプルでありながら、ウールやツイードといった温かみのある素材を用い、どこか“人間らしさ”を感じさせる。
同じ「控えめな服」でも、そこには心地よさや柔らかさがあります。
そうした“体温を感じる服”を自然に着こなせるのは、経験を重ねた大人ならではです。
3. 日常との相性
グランパコアのもうひとつの魅力は、日常に馴染むことです。
特別なシーンだけでなく、仕事帰りや休日にも無理なく着られるというのがポイントです。
それでいて、きちんと見える。この“ちょうどよさ”が、大人のライフスタイルに合っています。
休日に散歩をしたり、カフェで本を読んだりするような時間。
そんな穏やかな場面に、ツイードジャケットやベストを軽く羽織るだけで、
落ち着いた雰囲気が自然に生まれます。
日常の延長線上にあるおしゃれ――それが、グランパコアの真骨頂です。
グランパコアは、流行を追う服ではなく暮らしに溶け込む服です。
そしてそれは、若さよりも経験を重ねた今だからこそ、自然に似合うスタイルでもあります。
グランパコアの基本アイテム
アイテム | 選び方のポイント |
|---|---|
ニットベスト | 表情のある編み目を選ぶと、シャツやTシャツの上に重ねたときに立体感が出ます。 |
コーデュロイパンツ | 太めのシルエットでリラックスした印象に。ブラウンやベージュなどの中間色が使いやすいです。 |
カーディガン | ウールやモヘアなどの柔らかい素材を選ぶと季節感が出ます。くすんだトーンが落ち着いた印象に。 |
ツイードジャケット | トラッドな柄をあえて軽く羽織ることで、クラシックでも堅く見えません。 |
レザーシューズ | 新品よりも、少し履き慣れた艶感がある方が全体にまとまりが生まれます。 |
どのアイテムも長く着るほどに味が出ます。新しい服を買い続けるよりも、手持ちの服を大切に着ることで、自然と自分らしいスタイルが出来上がります。
着こなしのコツ “抜け感”を意識する
グランパコアは全体が重たくなりやすいスタイルなので、そのためどこかに軽さを入れるのがポイントです。たとえば、ツイードジャケットに白Tシャツを合わせたり、足元をスニーカーにしたり。ほんの少し現代的な要素を加えることで、落ち着いた中にも軽快さが生まれます。
全体を同系色でまとめるときは、色の濃淡を意識すると立体感が出ます。
過度にきちんと見せようとしすぎず、自然体で着ることが、グランパコアを楽しむうえで大切な心構えのように思います。
ツイードジャケット + デニムパンツ + レザーシューズのコーディネート例、
白のニットを合わせることで重たくなり過ぎない。

まとめ
トレンドを追うよりも、自分のペースで服を選びたい。そんな男性にとって、グランパコアは心地よいスタイルです。
年齢を重ねることで、似合うものが増えていきます。派手さではなく、静かな存在感。手入れの行き届いた服や、素材の風合いを活かした着こなしは、どんなブランドよりも“自分らしさ”を語ってくれます。
グランパコアは、時を重ねるほどに深まるスタイルです。
流行ではなく、自分のリズムで服と付き合う。その姿勢が、いちばん“おしゃれ”なのかもしれません。
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