エシカルとかサステナブルとか、最近よく聞きますよね。
ただ正直、言葉だけが先に立っていて、何をどう選べばいいのかは曖昧なまま、という人も多いと思います。服は結局、毎日着るものなので、理念だけで判断するのは難しいし、値段が上がりそうな気配もあって、少し身構えてしまうのも自然です。
「エシカル(ethical)」とは、倫理的という意味です。ファッションに置き換えると、人・社会・環境に配慮して作られた服を選ぶ姿勢のことを指します。
たとえば、フェアトレードで生産された素材を使っている、環境負荷を減らす再生繊維や天然染料を選んでいる、動物由来素材を使わない設計にしている、廃材や古着を再活用するアップサイクルに取り組んでいる、こういうものがエシカルの具体例です。
似たような言葉で、「サステナブル(持続可能)」というものもあります。サステナブルはどちらかというと、環境への負荷を減らす、という入り口が強く、エシカルは作り手や社会への配慮、つまり人の側から話が始まることが多いのです。
入り口が違うので混乱しやすいのですが、取り組み自体は重なっている部分が多く、店頭で見たときは同じ棚に並んでいることも珍しくありません。近年は大手セレクトショップや百貨店でも、こうした背景を持つアイテムが当たり前に出てきました。
なぜエシカルが大人の男にフィットしやすいのか
エシカルファッションというと、意識が高い人のもの、値段が高くて実用的じゃない、みたいな印象を持つ人もいると思います。実際、少し前までは「理念に共感できる人が選ぶもの」という見え方が強かったのも事実です。
ただ、いま自然に選ばれやすいのは、むしろ30〜50代のほうです。理由は簡単で、服を増やすこと自体の優先度が下がってくるからです。若い頃は安くて新しいものをどんどん足せたのに、年齢を重ねると、買ったのに着なくなった服が増えてきて、結局よく着るのはいつもの数着に落ち着く、という経験が一度はあるはずです。そうなると、次に買う一着は、見た目だけでなく、長く着られるか、後悔しにくいか、という基準で選びたくなります。
エシカルの文脈で語られるブランドは、結果的に「長く着る前提」のものづくりをしていることが多いので、ここが大人の感覚と合いやすいのだと思います。
服を買う前に、作り手の情報を一回見るようになる
もう一つは、買う前に「どこで作っているか」を一回確認するようになる、という話です。
どこで縫われたのか。
誰が作っているのか。
素材は何で、何を減らしているのか。
ここを見始めると、勢いで買う回数が減ります。値札だけを見て決めるのではなく、「この値段は何に払っているのか」を一度考えるようになるからです。
たとえば、値段が高い服でも、縫製や素材、修理の前提が説明されていれば、「長く着るつもりで買う」という判断がしやすくなります。逆に、安いのに説明が何もなくて、素材も作っている場所も曖昧なら、その場の気分で買ってあとから着なくなる可能性が高い。
結局ここでやっているのは、理念の話ではなくて、買う前の確認を増やして失敗を減らしているだけです。年齢を重ねるほど、この確認を面倒がらずにできるようになるので、エシカルの考え方と相性が良くなります。
子どもがいるかどうかより、買い方が変わる時期に入る
家族を持つと未来のことを考えるようになる、という説明はよく聞きますし、それ自体はおかしくありません。
ただ、もっと手前の話として、30代を過ぎたあたりから「買ったのに着ない」が増えるのが先だと思います。無理に我慢したいわけではないのに、安いからで買って、結局ほとんど着ずに終わるのがいちばん損をした気分になりますよね。
そういう経験が増えてくると、服を選ぶときに「安いかどうか」だけで決めにくくなってきます。素材や作りの説明があるか、作っている場所や人の話が出ているか、少なくとも怪しいところがないかを一回確認してから買うようになる。
この確認が増えるだけで、買ったあとに「なんか違った」が減りますし、結果として環境や労働の問題から目をそらしにくい選び方になります。
エシカルファッションを選ぶときの4つの見方
ここからは、買う前に確認するポイントを4つに絞ります。これだけ決めておくと、気分や言葉に引っぱられずに選べます。
1. 環境や作り手に配慮されているか
ファストファッションが悪いかどうか、という話をしたいわけではありません。問題になりやすいのは、低価格で大量に作る構造の中で、過剰な農薬使用や、過酷な労働環境が生まれやすいところです。エシカルブランドは、フェアトレードや環境に配慮した素材選びなど、そこに正面から向き合う姿勢を見せていることが多い。
「その服が誰かの負担の上に成り立っていないか」
こういう問いを、たまに思い出せるだけでも買い方は変わります。
ウルトラファストファッションについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
ウルトラファストファッションはなぜ問題なのか?安さの裏側をあらためて考える
2. 作られた背景が見えるか
どこで、誰によって、どのように作られたのか。こういった情報が出ているブランドは、割と判断がしやすいです。
トレーサビリティ(追跡可能性)という言葉がありますが、難しく考えなくてよくて、原材料から製造までの説明があるか、言っていることが具体的か、という視点で十分です。服を選ぶときに背景まで確認するのは面倒に見えますが、慣れると逆で、余計な買い物が減ってラクになります。
3. 肌に触れる素材が気持ちいいか
エシカルの話をしているのに、急に着心地の話?と思うかもしれませんが、ここは非常に大事なポイントです。
オーガニックコットンやリネンなどの天然素材が多いのは、環境配慮だけでなく、着る側にとって気持ちいいからです。とくにインナーやシャツのように肌に直接触れるものは、静電気や摩擦が少ないだけで快適さが変わります。理念よりも先に「気持ちよく着られるか」を見るのも、かなり現実的な選び方だと思います。
4. ブランドの姿勢が、言葉ではなく行動で見えるか
環境問題や人権問題など、ファッション産業が抱える課題は少なくありません。なので、姿勢に共感できるかは確かに大事です。
一方で、近年増えているのがグリーンウォッシュです。実態以上に環境にやさしいと見せる手法で、悪質な場合、ほんの一部だけエコ素材を使っているのに、全体がサステナブルであるかのように見せるケースもあります。
ここで見るべきポイントは、取り繕った綺麗な言葉ではなく具体的な部分です。たとえば素材の比率を出しているか、工場や認証について説明があるか、修理や回収の仕組みがあるか。このように行動が見えるブランドのほうが、結局は信用できます。
大人にこそ似合うエシカルブランド3選
ここからは、著者がオススメしたい「エシカルファッションブランド」を紹介していきたいと思います。背景が立派でも、結局着ないなら意味がないので、まずは日常で使えることを前提に選びます。
1. KUON(クオン)|伝統 × アップサイクルの融合|日本

KUON(クオン)は日本語の「久遠」、「遠い過去または未来」「永遠」に由来しています。
(画像出典: KUON)
世界中に存在する古着や古布の持つ歴史や文化を取り入れながらも、その枠に捉われず、時代が巡っても変わらない、理屈抜きのシンプルなカッコよさを追求することをブランドの真髄としています。
古布(襤褸)や刺し子、天然染料などを取り入れた、現代的なアップサイクルブランド。日本の手仕事を再構築し、唯一無二の存在感を放つ服を展開。1点ものの価値と、文化的深みが魅力です。
CONFECT(コンフェクト)|“考えて選ぶ”を提案する服|日本

〈コンフェクト〉の服は、リネン素材をはじめとした上質な天然素材を使用し、着心地や素材感にとことんこだわりながら日本のものづくりの精神を大切に、一つ一つ丁寧に生産しています。
(画像出典: CONFECT)
岡山に自社縫製工場を持つブランド「nest Robe」のメンズラインとして誕生したCONFECT。リネンやオーガニックコットンといった自然素材を中心に、染料や縫製にも徹底的に配慮しています。
無理に主張せず、それでいて確かな美意識とストーリーを持つデザインは、“考えて服を選びたい大人”のワードローブにしっくり馴染みます。
着ることそのものが、環境へのアクションになる。そんな新しい視点を与えてくれるブランドです。
Patagonia(パタゴニア)|エシカルの先駆者|アメリカ

(画像出典: Patagonia)
エシカルファッションを語る上で外せない存在は、やはりPatagoniaでしょう。
1973年にアメリカで創業したアウトドアブランドながら、環境問題や労働環境への取り組みではファッション業界の最先端を走っています。
再生素材の使用、フェアトレード認証、古着の回収・修理プログラムなど、理念を行動に落とし込む姿勢は、世界中のブランドのロールモデルに。「地球を救うためにビジネスを営む」という企業理念を掲げています。
無理なく取り入れるには、完璧を目指さない
最初から全部を満たす服を探し始めると、確実に疲れてしまいます。
なので、最初は一枚からのスタートで十分です。
背景が少しでも見えるブランドを選ぶ。
本当に着る形を選ぶ。
着ない服を増やさない。
この三つだけでも、次の一着を選ぶときに判断が早くなります。
まとめ
エシカルファッションは、我慢でもハードルの高いものでもありません。
むしろ、「これからの大人の男にこそフィットする服選び」の一つの指針だと思っています。高級でなくてもいい。たくさん買わなくてもいい。大切なのは、自分の基準で選ぶことです。
あなたが着ているその服には、どんなストーリーがあるのか。
それを知っているというだけで、日々の装いが少しだけ誇らしくなるかもしれません。
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