黒やネイビー、無地を選んでおけば、大きく外すことは少ない。そう考える人はかなり多いと思います。実際、その判断は合理的で理にもかなっています。理由は簡単で、合わせる相手を選びにくく、朝の迷いも減るからです。
忙しい日でも考えなくて済むし、どこに行っても浮きにくい。結果として失敗は減ります。この点だけを見ると、黒やネイビー、無地を軸にした服選びはかなり優秀です。
ただ、その合理性に寄せた選び方を続けていると、服装が固定化されやすくなります。バリエーションが乏しいため、いつも同じ印象になっていく。自分では違うつもりでも、並べてみるとほとんど差が出ない。この状態に入ると、新しく服を買っても手応えが出にくくなります。
原因は黒やネイビー、無地そのものではありません。問題は「合わせやすい」を理由にして、服を選ぶときの判断を省き続けたことです。
そこで今回は、合わせやすい服を選びすぎると、なぜ服装が単調になりやすいのか。その仕組みを整理してみたいと思います。
「合わせやすい」は、判断を減らせるという意味になりやすい
合わせやすい服が増えていくと、服を選ぶときの基準が少しずつ変わります。今日はどの服を主役にするか、どこをきれいに見せたいか、どこを崩すか。そういった判断をしなくても、とりあえず成立する選択肢が常に手元にある状態になります。
この状態は楽です。考えなくていいし、失敗もしにくい。ただ、その楽さに慣れると、服装は「選んだ結果」ではなく、「考えなくても問題が出なかった結果」になりやすくなります。判断を間違えない代わりに、判断そのものをしなくなる。この変化が、服装を単調にしていきます。
無地と暗色が悪いのではなく、役割が曖昧なまま増えることが問題
ここで誤解しやすいのは、黒やネイビー、無地が悪いという話ではない点です。問題は色や柄ではありません。それぞれの服が、何のためにあるのかが曖昧なまま増えていくことです。
たとえば黒のトップスでも、仕事用として選んだ黒と、休日用として選んだ黒では、本来役割が違います。ネイビーのパンツでも、ジャケット前提で履くものと、スニーカーに合わせる前提のものでは、合わせ方が違うはずです。
ところが「合わせやすいから」という理由で選んだ服は、こうした役割分けがされないままクローゼットに増えていきます。結果として、どれを取っても似た組み合わせに落ち着きやすくなります。
服装がつまらなく感じるのは、理由を説明できなくなるから
服装が単調に感じるとき、多くの場合、派手さが足りないわけではありません。その服を選んだ理由を、自分の中で説明できなくなっていることが原因です。
今日はこのパンツにしたのは、上をこう見せたいから。今日はこの靴を選んだのは、全体をこう寄せたいから。こうした理由が自分の中で整理されている日は、たとえ色数が少なくても、服装には納得感が残ります。
一方で、ただ無難だから、ただ楽だから、という理由だけで服を選ぶ日が続くと、服装は自分の中で薄くなっていきます。着てはいるけれど、選んでいる感覚がなくなる。この状態が続くと、服装に対する手応えも減っていきます。
合わせやすさを減らすのではなく、判断が必要な要素を一つ足す
服装を変えたいと思ったとき、いきなり強い服を増やす必要はありません。むしろ、合わせにくい服を増やすと、着ない服が増える可能性が高くなります。
ここで有効なのは、判断が必要な要素を一つだけ足すことです。色を一色増やす、素材感が分かりやすいものを入れる、形が少し違うパンツを一本足す。こうした変化があるだけで、服を選ぶときに判断が発生します。
判断が必要になると、選び方が固定化しにくくなります。合わせやすい服も、「とりあえず着るもの」ではなく、「この組み合わせの一部」として使われるようになります。
まとめ
合わせやすい服を選ぶこと自体は、合理的で理にかなっています。黒やネイビー、無地は失敗を減らしてくれます。ただ、それを理由に判断を省き続けていると、服装は単調になりやすくなります。
原因は色やデザインではありません。「合わせやすい」を理由に、服を選ぶときに考えなくて済む状態を作り続けたことです。服装を変えたいと感じたときは、派手な服を増やすのではなく、自分の服装を自分で説明できる状態を取り戻すこと。そのために、まずは判断が必要な要素を一つだけ足してみる。それだけで、服装は少しずつ変わっていくと思います。
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